「低血糖」とはどのような症状?~原因や高血糖についてもわかりやすく解説~

「低血糖」とはどのような症状?~原因や高血糖についてもわかりやすく解説~

2025/05/14

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター 前間弘美(管理栄養士)が担当しました。

急に冷や汗が出たり、手が震えたりしたことのあるあなた。その症状は低血糖によるものかもしれません。

糖尿病でインスリン注射や薬を服用している方は、低血糖を起こしやすいです。そのため、低血糖の予防や対処方法を知っておくことが大切なのです。

そこで、今回は低血糖についてお伝えいたします。症状や原因も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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低血糖とは

低血糖とは、血糖値が低くなった状態のことです。

ちなみに血糖値は、血液中に流れているブドウ糖の量を示す値のことです。血液中のブドウ糖は、全身の細胞に移動してエネルギーとして使われます。

健康な方は膵臓から分泌されるホルモンによりと血糖値の調節をしているので、極端に血糖値が下がることはありません。ところが、血糖値を下げる薬を使用している糖尿病の方は、血糖値が下がりすぎて低血糖になることがあるのです。

とくにSU薬やグリニド薬、インスリンを使用している方は低血糖を起こしやすくなっています。

低血糖になり始めの段階では、

・体のだるさ
・冷や汗が出る
・手の震え
・動悸

といった症状が出るといわれています。この段階での血糖値の目安は70mg/dL以下です。

そして血糖値がさらに低くなり、50mg/dL程度になると、

・頭痛
・目のかすみ
・集中力の低下
・生あくび

などの症状があらわれ、もっと血糖値が下がり50mg/dL以下になると意識がなくなることもあります。


●無自覚低血糖の場合も
普段から低血糖が生じている方や自律神経障害があり自覚症状の少ない方は、冷や汗などの症状が出ないまま気付いたときにはかなりの低血糖になっていることがあります。

低血糖は危険な状態なので、できるだけ早く対処が必要です。


●糖尿病は高血糖になるんじゃないの?
たしかに糖尿病は血糖値の高い状態が続くことで、引き起こされます。

しかし糖尿病の方が高血糖になるのは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの作用が十分ではないからです。そのため糖尿病の方は、注射や薬でインスリンの働きを補うことがあるのです。

そして、その薬剤の作用により低血糖になる可能性があります。


<高血糖とは>
高血糖とは、血糖値の高い状態が長く続くことです。高血糖状態が続くことで、糖尿病につながります。

高血糖になる原因は、おもに遺伝や生活習慣です。

症状は、

・のどの渇き
・尿が増えた
・体重減少
・疲れやすさ

などが挙げられます。

しかし上記の症状は、血糖値が正常より少し逸脱した程度ではあらわれません。そのため検査を受けるまで、高血糖であることに気付かない方が多いのです。

健康診断などでこまめに検査することをおすすめいたします。

原因について

糖尿病の方が低血糖になる原因は、さまざまです。

たとえば

・インスリン注射や薬を飲んだ後の食事時間の遅れ
・食事量が少なかった
・運動量が多かった
・飲酒


などが挙げられます。

糖尿病の方は医師からの処方で、インスリン注射や血糖値を下げる薬を使用することがあります。しかし血糖値は薬だけでなく、食事や運動量などの生活習慣によっても変化するのです。

そのため食事量や運動量によっては注射や薬が効きすぎて、低血糖になることがあります。


●糖尿病でなくても低血糖になるのか
反応性低血糖といって食後急激に上がった血糖値に伴い、必要以上のインスリンが分泌されて低血糖が起こることがあります。

また、膵臓疾患(インスリノーマなど)や肝臓の異常(肝硬変やアルコール多飲)、副腎機能不全などで低血糖になることも。

インスリンや経口血糖降下薬といった糖尿病の治療薬が原因で低血糖になる可能性はすでにお伝えしましたが、それ以外の薬が原因で低血糖となることもあります。

何かおかしいなと思うことがあれば、病院を受診してくださいね。

低血糖の症状をチェックしよう

以下の表に低血糖の症状と血糖値の目安をまとめました。


■低血糖の症状チェックリスト
血糖値の目安:70mg/dl以下
・冷や汗をかく
・動悸
・手が震える
・顔色が悪くなる

血糖値の目安:50mg/dl程度
・頭痛
・目のかすみ
・集中力の低下
・生あくび

血糖値の目安:50mg/dl程度
・昏睡
・異常な行動
・けいれん

当てはまる症状があれば、すぐに対処しましょう。また、以前に低血糖症状が起きたことのある方は、症状や状況を思い出し予防方法を考えるとよいですね。

低血糖が頻発する方や、症状が持続する方、50mg/dl以下の重症低血糖を生じる方は必ず主治医に報告、相談してください。

低血糖時の対処法を紹介

低血糖時の対処法を紹介
出典:Adobe Stock ※画像はイメージです

もし「低血糖かも?」と気付いたら、すぐに血糖値を測定し血糖値を確認しましょう。血糖値がどの程度でどんな症状が出ているのか確認することで、また低血糖を生じた時の助けとなります。測定できない場合は低血糖と見なして、すぐにブドウ糖を摂ります。

砂糖やショ糖は体内でブドウ糖に変換されるまで時間がかかるので、低血糖症状をおこしている時の対応には不適です。とくにα-GI阻害薬を内服中の方は必ずブドウ糖を摂取するようにしてください。

1回に摂るブドウ糖の量は10gです。もし、15分経っても回復しない場合はもう1度10gのブドウ糖を摂取します。

なお、意識のない場合は口腔内の唇と歯肉の間にブドウ糖や砂糖を塗り付けます。そして救急車を呼び、医療機関を受診しましょう。

1度低血糖になると、また低血糖になるのではないか、と不安に感じるかもしれません。そこで、経験を振り返って原因を探り、対処することが大切です。

日々の血糖値の記録だけでなく、食べたものや運動の記録をしておくと、あとから思い返すのに役立ちます。


●車を運転する際の注意点
運転中に低血糖を起こすと、重大な事故につながる可能性があります。

そこで、低血糖になりやすい状況での運転は避けましょう。また、運転時に低血糖を起こした場合の対処方法も考えておくことが大切です。

<運転しない方がよいタイミング>
まずは、低血糖になりやすい

・空腹時
・入浴後
・運動後

の運転を避けましょう。

また低血糖を起こしたことのある方は、低血糖になりやすい状況を把握し運転中に重ならないように調整するとよいですね。


<運転時の対処方法を確認>
運転中に低血糖を起こしそうだと感じたら、すぐにハザードランプを点滅させて路肩など安全な場所に停車します。

補食を摂るなど低血糖時の対処をおこない、血糖値と低血糖症状が回復してから運転を再開しましょう。

<無自覚低血糖は危険>
低血糖時の症状を感じることなく低血糖になる無自覚低血糖は、運転時に起こると非常に危険です。

というのも、低血糖症状は意識を失う場合もあるからです。そのため、無自覚低血糖によって意識を失う可能性のある方は、運転してはいけません。

心配な方は主治医に相談してくださいね。

まとめ

以上、低血糖とは血糖値が低くなった状態のことで、インスリン注射や血糖値を下げる薬を服用している方に起こりやすいとわかりました。

血糖値は薬だけでなく、食事が少なかったり運動量が増えたりすることで下がります。すると糖尿病の方は薬が効きすぎて、低血糖を引き起こすことがあるのです。

1度低血糖を起こすと、不安に感じるかもしれません。しかし大切なのは、経験を活かして対処方法を考えることです。自分が低血糖を起こしやすい状況がわかると、安心できますね。

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。

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